やむをえない事情によって
戸籍の氏を変えるには、
家庭裁判所の許可が
必要となります。
(1)氏の変更許可は、戸籍の筆頭者及びその配偶者が申立人となります。
(2)父又は母が外国人である者(戸籍の筆頭者又はその配偶者を除く。)で,外国人である父又は母の氏を称する場合は、父又は母が外国人である者(15歳未満のときは,その法定代理人が代理します。)が申立人となります。
戸籍の氏を変更するには,やむを得ない事情が必要となります。「やむを得ない事情」とは,氏の変更をしないとその人の社会生活において著しい支障を来す場合をいうとされています。
その判断は、氏を変更する必要性と、その事情が社会的にみて是認されるものであるか、という観点から検討されます。
氏の変更を申し立てるケースとして多いのは以下のような理由により支障が生じる場合です。
1. 珍奇・難解・難読なもの (1)他人から嘲笑侮べつされるような意味を帯び、人格を不当に傷 付けられるおそれのある場合 (2)難読で本人や社会一般にも他人から区別してその同一性を強い別 するための氏名が本来の機能を果たすことができない場合 (3)外国人の姓と紛らわしいため、外国人と誤認されるおそれのある 場合 2. 同姓同名 同姓同名の者が周囲に存在し、混同される ※混同を解消する方法として名前の変更もあり、氏の変更よりは認められやすい 3. 離婚後の氏の変更 離婚に伴う氏(姓)の選択期限後において氏の変更をする場合 |
戸籍上の氏と異なる氏の永年使用を理由に氏の変更が許可されるためには、①その通称が長期間にわたって社会生活全般において使用されたため、その氏が戸籍上の氏のように扱われ、戸籍上の氏を使用するとかえって別人と間違われて、本位にが困るばかりでなく、その人をめぐる社会にも混乱を生ずる場合で、かつ、②その通称を使用するについても合理的な理由があることを要するとされています。
申立人の住所地の家庭裁判所が申立先となります。
1.申立人の戸籍謄本(全部事項証明書) 2.氏の変更の理由を証する資料 a. 婚氏続称(離婚後も婚姻中の氏を使い続けること)や縁氏続称(養子離縁後も縁組中の氏を使い続けること)をした申立人が婚姻前の氏や縁組前の氏に戻ることを求める場合,婚姻前(養子縁組前)の申立人の戸籍(除籍,改製原戸籍)から現在の戸籍までのすべての謄本 b. 離婚や配偶者の死亡により復氏をした申立人が婚姻中の氏に戻ることを求める場合には,婚姻中の戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本。 c. 外国人の配偶者の氏(又は通称氏)への変更や外国人の父又は母の氏への変更の場合には,その外国人の住民票(住民票が作成されている場合)。 3.同一戸籍内にある15歳以上の者の同意書(筆頭者の氏が「○○」と変更されることにより,自分の氏も「○○」と変更されることに同意する旨が記載され,日付,署名,押印のある書類。) 4.その他、審理のために必要な場合は,追加書類の提出を求められることがあります。 |
あらためて申立てをすることはできますが,今回の事情から何ら変更がない場合は,同様の判断がされる可能性が高いと思われます。
戸籍に記載された氏を変更するには,家庭裁判所の許可の審判が確定した後に,市区町村役場に届出をすることが必要になります。届出には,①審判書謄本と②確定証明書が必要になります。
確定証明書は、審判をした家庭裁判所にその交付の申請をします。
届出は、申立人の本籍地又は住所地の役場にしてください。住所地の役場で行う場合には,戸籍謄本などの提出を求められることがありますので,詳しくは届出をする役場にお問い合わせください。
戸籍の筆頭者による氏の変更許可の申立てが認められて氏の変更の届出をすると,同じ戸籍に入っている全員の氏が変更されることになります。
なお、裁判所の許可を得ることなく届出だけで氏の変更ができる場合もあります。
例えば、結婚をしたことにより氏が変更した人が離婚をすると、通常元の姓に戻るのですが(これを復氏といいます)、離婚をしたものの、離婚後も変更後の姓(つまり元・配偶者の姓)を使う場合(これを婚氏続称などといいます)には、離婚から3ヶ月以内であれば、裁判所の許可を得なくても届出だけで氏を変更できます。
また、外国人と婚姻をした人がその氏を配偶者の称している氏(つまり外国の名)に変更したいときには、婚姻の日から6ヶ月以内であれば、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出るだけで変更が認められます。
~離婚後の氏変更~ なんらかの事情で婚氏継続使用の届出ができず、あるいはしなかったが、婚氏継続仕様の必要がある場合には、「やむを得ない事由」があることを根拠に婚姻時の氏への変更が認められるかが問題となります。また、離婚時に婚氏継続使用の道を選択したが、その後の事情変更等により、婚姻前の氏に戻りたいと言う場合にも、やむを得ない事情により氏の変更が認められるかが問題となります。いずれの場合も、他の氏変更事例に比べて、やむを得ない事由の認定は緩やかに解される傾向にあります。 |
氏の変更については
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