適格消費者団体とは、消費者全体の利益擁護のために差止請求権を適切に行使することができる適格性を備えた消費者団体として、内閣総理大臣の認定を受けたものです適格消費者団体は、強引な勧誘、不当な契約、誤った内容の表示など、「消費者契約法」「特定商取引法」「景品表示法」を守らない事業者の不当な行為について、差止め請求ができます。
◇福岡地裁が使用差し止め命じる
事案
冠婚葬祭費用を事前に積み立てる互助契約を中途解約した場合、多額の解約手数料を取る条項は消費者契約法に違反するとして、消費者団体が、大手冠婚葬祭業「NS」(山口県下関市)に条項使用差し止めを求めた訴訟
原告は、消費者に代わり不当契約の差し止め請求訴訟を起こせる消費者適格団体として認定されたNPO「消費者支援機構福岡」。
同社の契約は9万~24万円を90~120回払いで積み立てる。結婚式や葬儀の前に解約すると、支払い回数が7~10回なら全額を手数料として差し引かれ、それ以上は支払い回数に応じて差し引かれる。約75万口の契約がある。24万円コースで全額支払った後の解約では3万9600円が引かれている。
同社は「式場の建設資金や社員確保の費用を手数料として回収するのは不当ではない」と主張した。
結果
福岡地裁(山口浩司裁判長)は19日、使用差し止めを命じた。判決は「契約の締結や履行にかかる費用のみが解除による損害」と認定した。会員募集のパンフレット代など425円と会員の管理にかかる年間408円以上の回収は無効と判断した。判決に基づけば4505円のみの徴収になる。
参考
同種訴訟で条項を無効とする判断は2例目。別の業者に対する同種の訴訟では京都地裁が契約条項の無効判決を出し、2013年1月に大阪高裁の控訴審でも無効と判断されている。
出典
毎日新聞2014年11月20日(木)01:38【山本太一】