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クラブ活動中(野球部)の事故 横浜地裁平成25年9月6日

 

事 案

本件は,Y中学校(以下「本件学校」という。)の野球部(以下「本件野球

部」という。)に所属していた原告が,本件学校を設置管理する被告に対し,原告が本件野球部の練習において右眼にボールの直撃を受け,右網膜萎縮等の傷害を負った事故(以下「本件事故」という。)に関し,本件事故は本件野球部の顧問教諭らが防球ネットの配置を徹底せず,生徒に防具等を装着させず,複数箇所の同時投球を避ける等の指導監督義務を怠ったことに起因するなどとして,国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償金3725万6926円及びこれに対する本件事故の日である平成21年9月2日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

争 点

本件顧問教諭らの注意義務違反の存否

裁判所の判断

(1)本件顧問教諭らの注意義務

本件野球部の活動は,教育課程外のいわゆる部活動であり,生徒の自主的,自発的な参加により行われるものであるとはいえ,教育課程との関連をもって学校教育の一環として行われる以上,本件顧問教諭らは,当該活動について生徒の安全を確保し,事故の発生を未然に防ぐべき一般的注意義務があるというべきである。

(2)本件顧問教諭らの注意義務違反の有無

ア そして,野球の練習の中でもフリーバッティング練習は,ボール係や守備に

ついている生徒にバッターが放つ高速の打球が衝突して生命身体に対する危険の生じる可能性が高い練習であって(上記認定事実(1)キ),特にバッターの正面の近距離に位置するボール係は,極めて高い危険に晒されることになるから,野球部の指導者である顧問教諭らとしては,安全指導の手引きにおける記載(同(8))や本件ピッチングマシーンのパンフレットの記載(同(9)参照)等を参考にした上で,フリーバッティング練習において適切な位置に本件各ネットを設置しなければ,バッターの打球によってボール係の生命身体が害されるおそれがあることを容易に予見し得たといえる。

そうであれば,本件顧問教諭らには,フリーバッティング練習において,本件各ネットがボール係を打球から保護する位置に確実に設置されていることを同練習に参加して自ら又は他に野球の練習における安全指導の知識を有する教員に指示して確認するか,さもなければ同練習においては必ず本件各ネットが上記位置に設置され,ボール係が本件各ネットから出ることなく保護されている状態を維持するよう,本件野球部の部員らに対し,徹底した指導を行うべき注意義務があったといえる。

イ しかるに,本件顧問教諭らは,本件フリーバッティング練習に参加しておら

ず(同(5)ア),本件フリーバッティング練習時に本件各ネットが部員らを打球から保護する位置に設置されていることを直接確認せず,他の教員に確認させることもなかった。

ウ 確かに,A教諭は,本件野球部の練習に参加した際などに,部員らに対し

野球の練習の危険性やフリーバッティング練習における安全性の確保の指導を行ったこと(同(2)ア,同イ)が認められ,その結果として,部員らがフリーバッティング練習において本件各ネットを設置する必要があることを知り,本件フリーバッティング練習以前において,本件各ネットが設置されずにフリーバッティング練習が行われた形跡がうかがえないこと(同(3)イ)からすれば,A教諭の上記指導は,一定程度の効果を上げていたといえる。 しかしながら,①本件顧問教諭らは,朝練習に稀にしか出席せず(同(1)イ),放課後の練習においても不定期に出席するのみであり,また,他の教員をして出席させることもしておらず(同(1)イ),部員らに対し,定期的かつ計画的にフリーバッティング練習における安全上の注意点について注意喚起を行っていた

とは認められないこと(同(2)イ),②本件事故時において本件顧問教諭ら及びその他の教員に代わり部員らを指導監督するキャプテン等の責任者を指定するなどしておらず(同(2)エ),本件顧問教諭らの指導を間接的に部員らに浸透させる態勢を整えていたとも認められないこと,③側方ネット及び本件ピッチングマシーンは,グラウンドのほぼ中心に位置しており(上記前提事実(3)ウ),多くの部員らにとって,本件フリーバッティング練習において側方ネットが設置されていないこと及び原告が本件ピッチングマシーン後方でボールを拾っていたことは,容易に気付き得たと認められるにもかかわらず,本件フリーバッティング練習は,側方ネットが設置されず,かつ,原告がボールを拾っている状態で,漫然と本件合図が出て開始されたこと(同(2)エ,上記認定事実(5)エ),④本件顧問教諭らは,本件野球部の1年生らの判断能力が未熟で,かつ,野球の経験が少ないことから,特に安全指導を行う必要性のあると考えられるにもかかわらず,何ら特別の安全指導を行っていないこと(同(2)ウ),⑤原告は,本件各ネットの設置について,本件顧問教諭らや本件野球部の上級生からの特別の指導によって学んだのではなく,同上級生が本件各ネットを設置しているのを真似て,分からない点について質問をすることにより覚えたにすぎないこと(同(4)イ)などからすれば,部員らは,本件各ネットが有する安全上の重要性について十分に理解しないまま,慣例としてこれを設置していたにすぎなかったと評価するのが相当であり,本件顧問教諭らが,部員らに対し,フリーバッティング練習におけるボール係等の生命身体の侵害の危険性について,その高度な危険性を理解させるに十分な理解を得させる指導を行っ

ていたとは到底認められない。

そうであれば,本件顧問教諭らの指導によって,フリーバッティング練習に

おいて必ず本件各ネットを適切な位置に設置し,また,ボール係が本件各ネットで保護されるよう,同ネットから出ることのないよう,指導することが徹底されていたとはいえない。

エ よって,本件顧問教諭らには,本件野球部の活動について部員らの安全を確

保し,事故の発生を未然に防ぐべき義務に違反した過失が認められる。

争点2:過失相殺

ア 原告には,①以前に野球の練習中にボールを眼に当てて怪我をした経験を有しており(上記認定事実(4)ウ),野球はボールが高速で身体に衝突することがあって危険が高いスポーツであることを知っていたと認められること,②原告は,本件ピッチングマシーン及び前面ネットの設置が行われた後に本件合図を聞いており(同(5)エ),本件フリーバッティング練習がまさに開始されたことを知っていたにもかかわらず,本件ピッチングマシーン周辺のボールを拾うことを継続したこと(同(5)エ),③原告は,ボールを拾う際に,第1レーンのバッターの打球を注視していなかったこと,④原告は,従来のフリーバッティング練習において,側方ネットを設置しなければいけないことを知っており(同(3)イ),本件ピッチングマシーン周辺から側方ネットの設置の有無を確認することが容易であった(同(3)ウ)にもかかわらず,本件フリーバッ

ティング練習においては側方ネットが設置されていなかったことに気付かなかったこと(同(5)ウ)等の事情が認められるのであって,原告の上記各行為が本件事故の発生に少なからず寄与しているのは明らかである。そうであれば,(ⅰ)原告が野球の経験が浅く(上記前提事実(1)ア),(ⅱ)野球部に入部して間もなかったこと(上記認定事実(4)ア),(ⅲ)本件フリーバッティング練習の際に初めてボール係を務めたこと(同(5)イ)といった事情を考慮しても,原告に生じた損害の全額を被告に負わせるのは不公平であるといえるから,本件顧問教諭らの上記過失の程度と比較し,本件損害のうち30%を過失相殺すべきである。

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