事 案 |
原告らは,被告S株式会社(以下「被告S」という。)が建築し,被告S不動産販売株式会社(以下「被告S不動産販売」という。)が販売した別紙物件目録一記載の15階建てマンション「Oシティハウス」(以下「本件マンション」という。)の高層階の区分建物を購入した。本件は,同じく被告S不動産が本件マンションの南側に15階建てマンションを建築したことにより,原告らの各区分建物からの眺望等を阻害されるに至ったが,これはマンション業者としての信義則に違反するなどとして,原告らが,被告らに対し,不法行為ないし債務不履行に基づき,損害賠償として上記各金員及びこれに対する,被告S不動産販売に訴状が送達された日の翌日である平成15年4月4日から,被告S不動産においても同様に同月3日から,各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 |
争 点 |
被告らには,原告らが主張するような,本件新マンション建築計画を説明すべき義務,あるいは,本件新マンション建築において11階以上の建築を差し控える義務があり,この義務に違反したか |
判 旨 |
被告らは「Sシティハウス」シリーズの一環として本件マンションを建築し,特に高層階については,その利便性とともに眺望もセールスポイントとして販売し,価格にも反映させている。そして,ここに居住する原告らは,この眺望も高層階の区分建物購入の重要な動機としており,被告らもそのことは了解していたはずである。そうすると,被告S不動産は,本件マンション建築をし,被告S不動産販売ともども販売を進めた者として,原告らに対し,信義則上その眺望を害しないよう配慮する義務があるといわなければならない。しかし,被告S不動産がこうした配慮をしたと認めるに足りる証拠はない。本件新マンションを建築する際に本件マンション居住者に説明会を開催したことが窺われるが,そのことが上記義務の履行と呼べるものでないことは明らかである。 したがって,本件のような上記特殊な事情が認められる場合には,被告S不動産は上記義務違反による損害賠償責任を負うべきである。 |
備 考(原告ら所有の各区分建物の時価減損について) |
眺望の障害の有無により上記時価の差額が発生することは容易に予測できるところではあるが(被告らも眺望の要素を価格に反映させている。),眺望は主観的なとらえ方にも影響され得る事項であるから,本件の証拠からその客観的時価の差額を正確に算出することは困難である。したがって,こうした経済的損失は,次の慰謝料で斟酌するのが相当である。 |
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