事案の概要 |
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F(株)は,手芸用品,生活雑貨等の製造を下請事業者に委託しているところ,次の(ア)から(カ)までのいずれかにより,下請事業者に責任がないのに,当該下請事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。減額した金額は,下請事業者78名に対し総額7414万6867円である。 |
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違反事実の概要: 下請法4条1項3号(下請代金の減額の禁止)違反 |
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(ア) 下請事業者に対し,「仕入割引」として,下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し,この要請に応じた下請事業者について,平成22年6月から平成24年2月までの間,下請代金の額から当該金額を差し引いていた。 |
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(イ) 自社の利益を確保するため,下請事業者に対し,「仕入値引」として,下請代金の額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し,この要請に応じた下請事業者について,平成22年6月から平成24年5月までの間,下請代金の額から当該金額を差し引いていた。 |
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(ウ) 新規店舗の開設準備費用を確保するため,下請事業者に対し,「新規開設店販促協賛金」として,一定額を負担するよう要請し,この要請に応じた下請事業者について,平成22年6月から平成24年1月までの間に,下請代金の額から当該金額を差し引いていた。 |
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(エ) 自社が出版社と提携して発刊する自社商品を使用した作品製作本の作成費用を確保するため,下請事業者に対し,「タイアップ本発刊に伴う販促協賛金」として,一定額を負担するよう要請し,この要請に応じた下請事業者について,平成22年10月から平成24年5月までの間に,下請代金の額から当該金額を差し引いていた。 |
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(オ) 自社の店頭において手配りするチラシの作成費用を確保するため,下請事業者に対し,「手配りチラシによる販促協賛金」として,一定額を負担するよう要請し,この要請に応じた下請事業者について,平成22年8月から平成24年3月までの間に,下請代金の額から当該金額を差し引いていた。 |
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(カ) 自社の利益を確保するため,下請事業者に対し,「販促協賛金」として,下請代金の額の6か月ごとの合計額に一定率を乗じて得た額を負担するよう要請し,この要請に応じた下請事業者について,平成22年8月から平成24年4月までの間に,下請代金の額から当該金額を差し引いていた。 |
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勧告の概要 |
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ア Fは,前記⑴アの行為が下請法第4条第1項第3号の規定に違反するものであること及び今後,同号の規定に違反する行為を行わないことを取締役会の決議により確認すること。 |
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イ Fは,次の事項を自社の役員及び従業員に周知徹底すること。 |
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(ア) |
前記アに基づいて採った措置の内容 |
(イ) |
減額した金額を下請事業者に支払ったこと |
(ウ) |
自社の発注担当者に対する下請法の研修を行ったこと |
ウ Fは,次の事項を取引先下請事業者に周知すること。 |
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(ア) |
前記アに基づいて採った措置並びに前記イ(ア)及び(イ)の事項について,自社の役員及び従業員に周知徹底した旨 |
(イ) |
減額した金額を下請事業者に支払った旨 |
(ウ) |
自社の発注担当者に対する下請法の研修を行った旨 |