事 案 |
カラーコンタクトレンズ(原告商品)を販売する原告が,被告に対し,被告商品を輸入,販売する行為について,主位的には不正競争防止法2条1項3号の不正競争,予備的には同項1号の不正競争に該当する旨主張して,同法4条に基づき,損害賠償金1677万5000円及びこれに対する不法行為の後の日である平成21年10月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案 |
争 点 |
(不正競争防止法2条1項1号該当を理由とする請求について)原告商品の商品形態の周知商品等表示該当性 |
結 論 |
商品の形態は,本来的には,商品としての機能・効用の発揮や商品の美観の向上等のために選択されるものであり,商品の出所を表示する目的を有するものではない。しかし,特定の商品の形態が独自の特徴を有し,かつ,この形態が長期間継続的かつ独占的に使用されるか,又は短期間でも強力な宣伝等が伴って使用されることにより,その形態が特定の者の商品であることを示す表示であると需要者の間で広く認識されるようになった場合には,当該商品の形態が,不正競争防止法2条1項1号にいう「商品等表示」として保護されることがあり得ると解される |
具体的事案検討 |
原告商品の形態は,上記1のとおり,原告が販売していたG&G社商品①~③と実質的に同一であるところ,G&G社商品①~③は,原告に日本国内での独占的販売権が付与されていたわけでもなく,他社からも販売されていたといえる(なお,G&G社は,平成21年1月に,ピアコーポレーション株式会社との間で,同社の製造するコンタクトレンズの日本国内における独占的販売権を付与するなどしている。)。 したがって,原告商品の形態は,日本国内で原告及び他社から既に販売されていたG&G社商品①~③と実質的に同一であり,独自の特徴を有するものではないから,需要者が,原告商品の形態から,これを原告の商品であると認識することはなく,これを原告の商品等表示ということはできない。 原告は,原告商品の店頭での売られ方や,広告宣伝についても主張するが,原告商品の形態に独自の特徴が認められない以上,これらによって,原告商品の形態が出所識別機能を獲得するに至ったと解することはできず,原告の主張には理由がない。 |