情状弁護とは
起訴事実に間違いない場合であっても,刑事弁護(情状弁護)は必要です。「情状弁護」とは、簡単にいえば,有罪を前提に刑を軽くしてもらう刑事弁護活動です。
情状弁護の意義
(1)正しい事実認定を得るため
有罪という結果自体は変わらなくても,犯行態様を誇張して認定され,その結果,必要以上に重い刑を科されたとしたら,それも一種の冤罪です。情状弁護は,犯罪事実に対し,検察官とは別の角度から光を当て,正しい事実を浮き彫りにし,被告人に有利な事情を引き出す活動でもあります。
(2)被告人に反省を促し,社会復帰を促す
誤解を恐れずに言えば,被告人は死刑にならない限り,再び社会に出て行くのです。被告人が社会で受け入れられ,自立して生きていくためには,被告人に反省を促し,被告人の更生を図ることが必要不可欠なのです。それが,家族の願いであり,社会の思いでしょう。情状弁護は,単に被告人の量刑を軽くするための活動に留まるものではなく,被告人に心からの反省を促し,その後の生き方を共に考える活動です。
具体例
Aさんは(75歳)は,20歳で上京して以来,何度も無銭飲食や万引き等を繰り返し,人生の3分の1近くを刑務所で過ごしてきました。今回,万引きで逮捕されたのは,九州の刑務所を出所してわずか1週間後でした。
Aさんと初めて接見したとき,Aさんは「こんな万引き程度で警察に通報した方がおかしい。何を反省する必要があるんだ。今回は4~5年だよ。どうせこのまま刑務所で死ぬんだから,反省しなくても同じだろう。」と自暴自棄気味でした。Aさんには兄弟がいましたが,度重なるAさんの不義理の結果,関係は完全に途絶えてしまっていたことも,Aさんが自暴自棄になっている原因の一つでした。
弁護士は,①Aさんが高齢で,持病を抱えていること,②被害金額が小さいこと等を考慮すれば,他に何らかの情状事実があれば,懲役4~5年まではいかないであろうと考えました。しかし,被害金額は数百円程度でしたが,被害弁償をするだけの資力もAさんには無かったので,被告人に被害者へ謝罪文を書くように説得しました。最初は,「この程度で通報する方が悪い。どうせ生きて刑務所を出れないんだから」と頑なに拒んでいたAでしたが,これは「本当は生きて刑務所を出たい」というAさんの強い気持ちから来るものでした。そこで,弁護士から,心から反省していることを裁判官に分かってもらえれば,もっと軽い罪になるであろうことを時間をかけて説得し,何とか謝罪文を書いてもらうことができました。
その結果,反省・更生の余地なしとして2年6月の懲役を求刑されましたが,反省していることが伺われるとして2年の懲役となりました。Aさんからは,「2年なら生きて刑務所を出られる。生きる意欲が湧いてきた。」と言っていただきました。
総武線沿線・半蔵門線沿線,東京墨田区錦糸町・押上
刑事弁護に関する相談で弁護士をお探しなら、アライアンス法律事務所まで
お問い合わせください。
東京都墨田区太平4-9-3 第二大正ビル1階